クラウドのセキュリティについて

目次

はじめに

クラウドサービスの導入が進む中、セキュリティエンジニアや情報システム部門担当者は、オンプレミス環境とは異なるリスクに対して万全の対策を講じる必要があります。

クラウドならではの共有責任モデル、マルチテナントリスク、データ保護、アクセス管理、可視化・インシデント対応など、多岐にわたる項目を網羅的に理解し、製品やソリューションの導入検討に活かせることが求められます。

本記事では、クラウド全般のセキュリティ対策を5つのセクションに分け、製品選定や運用設計のポイントを約20,000文字規模で詳しく解説いたします。

セクション1:クラウド共有責任モデルの理解

責任範囲の明確化

クラウドプロバイダが提供するインフラストラクチャや基盤サービスの保護責任と、利用者側が担うアプリケーションやデータの保護責任を明確に区分けすることが、セキュリティ設計の出発点です。

サービスモデル別セキュリティ境界

IaaS、PaaS、SaaSそれぞれでセキュリティ境界が異なるため、各サービスモデルの責任範囲を正確に把握し、適切な管理策を講じることが重要です。

マルチクラウド環境の横断管理

複数プロバイダを利用するマルチクラウド環境では、それぞれの共有責任モデルを横断的に管理する仕組みを整備しましょう。

セクション2:マルチテナント環境におけるリスクと対策

マルチテナントの特徴と潜在的リスク

クラウドの特徴であるマルチテナント構成は、リソースの共有によるコスト効率化を実現しますが、他テナントからの脅威が潜在的に存在します。

ネットワークアイソレーションとハイパーバイザ保護

ネットワークアイソレーションの徹底や、ハイパーバイザの脆弱性対策を講じ、サイドチャネル攻撃への防御策を構築しましょう。

コンテナ/サーバレス時代のランタイム保護

コンテナやサーバレスアーキテクチャを活用する際には、ランタイムのセキュリティ強化、イメージスキャン、脆弱性管理プラットフォームの導入を検討してください。

セクション3:データ保護と暗号化設計

保存時・転送時の暗号化基盤

クラウド上のデータは保存時および転送時の暗号化が基本です。

キー管理とハイブリッド連携

KMS(Key Management Service)を用いたキー管理や、オンプレミス鍵連携、BYOK(Bring Your Own Key)の要件に対応する製品選定が重要です。

DLPと可視化ツールの組み合わせ

データ可視化ツールやDLP(Data Loss Prevention)ソリューションを組み合わせ、機密データの不正アクセスや流出を防止する仕組みを構築します。

セクション4:アクセス管理とアイデンティティ連携

クラウドネイティブIAM設計

クラウド固有のIAM(Identity and Access Management)設計をベースに、権限分離を徹底します。

フェデレーション連携とSSO構築

オンプレミスのActive Directoryや他IDプロバイダとのフェデレーション連携、シングルサインオン環境の構築が求められます。

多要素認証とRBAC/条件付きアクセス

多要素認証の必須化、役割ベースアクセス制御(RBAC)の導入、条件付きアクセス(Conditional Access)ポリシーの設定を行い、きめ細かなアクセス制御を実現しましょう。

セクション5:可視化・監査・インシデント対応フロー
ログ集約とSIEM連携

クラウド環境全体のログを集約管理し、SIEMやクラウドネイティブの監視サービスと連携して異常検知体制を整備します。

インシデント対応手順と自動化

インシデント発生時の対応手順、通知ルール、エスカレーションパスを標準化し、SOARなどの自動化ツールを活用して初期対応の時間を短縮します。

定期検証:ペネトレーションテストとレッドチーム演習

定期的なペネトレーションテストやレッドチーム演習を実施し、運用体制の有効性を検証することが重要です。

まとめ

クラウドのセキュリティ対策は、共有責任モデルを踏まえた全体設計からマルチテナントリスク、データ保護、アクセス管理、監視・インシデント対応まで多層的に取り組む必要があります。本記事のポイントを参考に、製品導入検討や運用設計にお役立てください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次