
目次
パムグリア(PAM Glea)とは?
パムグリア(PAM Glea)は、企業が抱える「特権アカウント管理(PAM: Privileged Access Management)」の課題を包括的に解決する次世代ソリューションです。
従来のパスワード共有や管理不足による情報漏えいリスクを抑制しつつ、運用効率とガバナンスを両立させることが可能です。
本セクションでは、パムグリアの基本コンセプトと設計思想、ターゲットとなるユースケースについて解説します。
1.1 背景:なぜPAMが必要なのか
昨今のサイバー攻撃は内部脅威や標的型攻撃が増加し、特権アカウントの不正利用による被害が深刻化しています。
- 特権アカウントの増加:クラウド/オンプレミス問わず、管理対象の特権アカウントは数千を超える例も珍しくありません。
- ログの不備:管理者の操作ログが分散し、インシデント発生時の調査に時間とコストがかかります。
- コンプライアンス対応:PCI DSSやISO27001など、各種規制要件への準拠が必須です。
1.2 パムグリアの設計思想
パムグリアは「シンプル」「スケーラブル」「セキュア」を三本柱とし、マイクロサービスアーキテクチャとクラウドネイティブ対応を実現。オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドいずれにも導入可能です。
1.3 想定ユースケース
- 大規模金融機関のデータセンター運用
- 製造業の制御システムへのリモートアクセス管理
- マルチクラウド環境におけるクロスアカウントアクセス
主な機能と技術的特徴
2.1 特権アカウントのライフサイクル管理
- 動的パスワード発行・ローテーションリアルタイムに生成される一時的認証情報でパスワード使い回しを排除します。
- セルフサービス型申請・承認ワークフローITSMツール(ServiceNow、Jira Service Management等)と連携し、申請→承認→発行を自動化。
2.2 リアルタイムセッション管理と録画
- プロキシ/ゲートウェイ機能SSH・RDP・SQL等、あらゆるプロトコルを統一的に監視。
- 高精細録画・ログ検索フレーム単位での録画による証跡性を担保し、キーワード検索で迅速に該当箇所へ移動可能です。
2.3 リスクベース認証(Adaptive MFA)
- 動的リスクスコアリングログイン時のデバイス情報、IP評価、時間帯などをリアルタイムにスコア化。
- 多要素認証連携FIDO2、TOTP、プッシュ通知型MFAなど、多彩な認証方式を柔軟に組み合わせ可能。
2.4 マルチクラウド&オンプレ統合管理
- クラウドID連携AWS IAM、Azure AD、GCP IAMとネイティブ連携し、クラウドネイティブリソースへの特権アクセスを一元管理。
- ディレクトリ統合Active Directory、LDAP、Okta等のIDプロバイダーとシームレスに同期し、既存アカウント運用を継承。
パムグリア導入のメリット
3.1 セキュリティリスクの大幅低減
- 特権アカウントの見える化で未管理のアカウントを特定し、不正利用を予防。
- 録画ログを用いた証跡確保で、インシデント発生時の調査時間を最大80%短縮します。
3.2 運用コストと運用負荷の削減
- 自動化ワークフローにより、承認・パスワード管理・ログ収集を効率化。
- セルフサービス機能で管理者への問い合わせを30%以上削減し、運用チームの工数を大幅に圧縮します。
3.3 コンプライアンス強化
- ワンクリックレポート:各種監査に必要な特権利用状況レポートを自動生成。
- 監査トレイル管理:操作ログを長期保存し、SOX法対応やPCI DSS要件をクリア。
他社PAM製品との比較ポイント
4.1 アーキテクチャ比較
比較項目 | パムグリア(PAM Glea) | 従来型PAM製品A | 従来型PAM製品B |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | マイクロサービス+クラウドネイティブ | モノリシック | クラウド対応だが一部モノリシック |
スケーラビリティ | 水平方向の自動スケール | 手動による増強が必須 | 限定的 |
4.2 機能拡張性
- パムグリア:REST APIによるフル連携、SDK提供。
- 製品A:プラグイン方式で一部制限あり。
- 製品B:カスタマイズ開発要件高。
4.3 コストモデル
- パムグリア:ユーザー数+ノード数のハイブリッド課金で初期費用を抑制。
- 製品A:永久ライセンス+保守料。
- 製品B:サブスクリプション型だが拡張時に追加費用発生。
パムグリア導入ステップ
5.1 現状分析とPoC準備
- 特権アカウント棚卸し:全対象アカウントをリスト化し、使用頻度・リスク評価を実施。
- PoC環境構築:小規模ユーザー+主要サーバーで検証し、運用シナリオをテスト。
5.2 本番導入と移行計画
- 段階的切替:業務影響を最小化するため、部門単位・システム単位で順次切り替え。
- 並行運用期間の設定:既存PAM製品との併用期間を設け、認証競合リスクを回避。
5.3 運用定着と教育
- 運用マニュアル・FAQ整備:エンドユーザー向け操作ガイドを提供し、トレーニングを実施。
- 定期レビュー:アクセス権限ポリシーと運用フローを四半期ごとに見直し、継続的改善を図ります。
導入事例/ユースケース
6.1 金融業界:データセンターアクセス統制
大手銀行にて管理者数百名の特権アクセスをパムグリアで集約。自動ローテーションと録画機能で、監査対応工数を年間2,000時間削減。
6.2 製造業:制御システムのリモート監視
世界的製造企業でPLC制御サーバーへの特権アクセスを管理。インシデント発生時の原因追跡をリアルタイムで実施し、ダウンタイムを50%短縮。
6.3 ITサービス:マルチクラウド運用管理
国内大手SIerがAWS・Azure・GCPを跨いだ特権アカウントを一元管理。クロスアカウント認証と自動証跡で、開発スピードを維持しながらセキュリティを強化。
おわりに
以上、セキュリティエンジニアや情報システム部門の皆様が「パムグリア」での導入検討を進める際に押さえておきたいポイントを、機能概要から導入手順、ユースケースまで網羅的にご紹介しました。
本記事が、企業の特権アクセス管理を次のステージへ引き上げるお役に立つことができましたら幸いです。