Netskope Client とは

目次

Netskope Clientとは

Netskope Clientの基本概要

Netskope Clientとは、企業がクラウドサービスの利用やリモートワークの増加に対応するために導入するセキュリティソリューションの一環で、ユーザーのデバイスにインストールされるエージェント型のソフトウェアです。このクライアントは、ユーザーがインターネットやクラウドアプリケーションにアクセスする際の通信を可視化・制御し、企業が定めたポリシーに沿ってセキュリティを強化することを目的としています。

現代のセキュリティ課題への対応

近年、企業内外を問わず多様な場所からのアクセスが一般化しており、従来のネットワーク境界型のセキュリティでは対応が難しくなってきました。ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)やセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)といった新たなアーキテクチャが登場し、それに対応するソリューションとしてNetskopeが注目されています。

中でもNetskope Clientは、ユーザーのアクセス制御、アクティビティの監視、データ保護といった重要な機能を担い、セキュリティエンジニアや情報システム担当者にとっては欠かせないツールとなっています。

Netskope Clientの機能と仕組み

多様なOSに対応したエージェント

Netskope Clientは、Windows、macOS、iOS、Androidといった主要なOSに対応しており、ユーザーの端末に常駐して動作します。このクライアントが果たす主な役割は、ユーザーがクラウドアプリケーションやWebサービスにアクセスする際のトラフィックを監視し、企業の定めたセキュリティポリシーに沿ってアクセスを制御することです。

トラフィックのリアルタイム検査

通信は、Netskopeのグローバルインフラストラクチャに転送され、リアルタイムでインスペクション(検査)されます。ここでは、マルウェアの検出、DLP(データ損失防止)、CASB(クラウドアクセスセキュリティブローカー)機能などが適用され、リスクがある通信や不正な操作を即座に検知しブロックします。

SSL復号とアプリケーション可視化

特に優れているのは、SSL復号機能を備えている点です。これにより、暗号化されたトラフィックも検査対象となり、従来のセキュリティ製品では見逃しがちな脅威も可視化・防止可能です。また、NetskopeのSmart Cloudエンジンはアプリケーション単位での可視化が可能で、ユーザーがどのクラウドアプリを、どのように利用しているかを詳細に把握することができます。

導入メリットとユースケース

リモートワーク時代のセキュリティ強化

Netskope Clientの導入によって得られるメリットは多岐にわたります。まず第一に、リモートワーク環境におけるセキュリティの強化が挙げられます。VPNを使わずとも、すべての通信をNetskope経由で制御できるため、ユーザーがどこからアクセスしていても一貫したセキュリティポリシーを適用できます。

シャドーIT対策としての活用

次に、シャドーIT対策としての効果が大きい点も注目です。従業員が業務に不要なクラウドサービスを利用して情報漏洩リスクを高めるケースは少なくありません。Netskope Clientを利用すれば、こうしたアクティビティを可視化し、不要・危険なアプリケーションの使用を制限またはブロックすることが可能です。

業種別ニーズへの柔軟対応

さらに、業界や業務ごとに異なるセキュリティニーズに柔軟に対応できる点も強みです。例えば、金融業界では厳格なDLPポリシーが求められる一方、製造業ではOT環境との連携が重視されるなど、ニーズは多様です。Netskope Clientは、それぞれの環境に応じた細かなポリシー設定が可能で、既存のIT資産とも柔軟に統合できます。

導入・運用時のポイントと課題

展開方法とインフラ設計の整合性

Netskope Clientを導入する際には、いくつかのポイントと課題をあらかじめ把握しておくことが重要です。まず、クライアントの展開方法については、企業内のPCに対して一斉配布する場合、MDM(モバイルデバイス管理)やソフトウェア配布ツールとの連携が求められます。導入計画の初期段階で、自社環境に適した展開方式を確認しておくことが望ましいです。

既存ネットワークとの整合性調整

また、既存のネットワークインフラとの整合性を保つための設計が重要です。特に、プロキシサーバーやSSLインスペクションを既に運用している場合、ポリシーの重複や競合を避けるための調整が必要です。これには、ネットワークエンジニアとの緊密な連携が求められるでしょう。

利便性と業務影響への配慮

さらに、ユーザーの操作性に配慮した導入が鍵を握ります。セキュリティを強化することが目的であっても、ユーザーの業務効率を損なってしまっては本末転倒です。そのため、段階的な導入やパイロット運用を通じてフィードバックを収集し、適切なポリシー調整を行うことが推奨されます。

ログ管理とアラート体制の整備

運用フェーズにおいては、ログ管理とアラート運用体制の構築も重要です。Netskope Clientが生成するログは非常に詳細であり、SIEMなどのログ分析ツールと連携することでインシデント対応の迅速化が期待できます。ただし、運用負荷の増加を避けるためにも、アラートのチューニングや運用フローの整備が不可欠です。

他製品との比較と選定ポイント

競合製品との主な違い

Netskope Clientは非常に高機能な製品ですが、他にも同様の機能を持つソリューションは存在します。代表的な競合には、ZscalerのZscaler Client ConnectorやPalo Alto NetworksのGlobalProtectなどがあります。

Zscalerは、SASEに特化したクラウドネイティブなセキュリティソリューションを提供しており、スピードと拡張性に優れた設計が特徴です。Palo AltoのGlobalProtectは、既存のFirewall製品との連携を重視しており、ネットワークレベルの制御に強みがあります。

Netskopeの強みと選定ポイント

一方、Netskopeはアプリケーション単位の可視化能力やDLP機能において他社製品を上回るケースが多く、特にクラウド利用の監視・制御にフォーカスした設計がされています。ユーザーがどのクラウドアプリケーションをどのように使っているのかを把握したいというニーズには、Netskope Clientが最も適していると言えます。

選定時には、自社のセキュリティポリシーや既存システムとの親和性、導入後の運用体制まで見据えた比較検討が必要です。また、ベンダーからのサポート体制や日本語対応状況も無視できない要素であり、特に導入初期の障害対応やポリシー設計の支援が得られるかどうかが重要になります。

導入事例とその効果

製造業における導入と成果

実際にNetskope Clientを導入している企業では、さまざまな成果が報告されています。ある大手製造業では、リモートワークの拡大に対応するためにNetskopeを導入し、VPNに依存しないセキュアなアクセス環境を構築しました。その結果、ユーザーの利便性を保ちつつ、IT部門の運用負荷を軽減しながら、セキュリティインシデントの件数を大幅に削減することができました。

ITサービス業における活用事例

また、あるITサービス企業では、従業員によるシャドーITの利用が問題となっていました。Netskope Clientによって、未承認クラウドサービスの使用を可視化・制御することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられるようになりました。さらに、Smart Cloudエンジンによって詳細なアクティビティ分析が可能となり、ユーザーの業務内容を理解した上で適切なアクセス許可ができるようになったとのことです。

まとめ:Netskope Clientの導入はセキュリティ高度化の第一歩

セキュリティ対策の新しいスタンダード

クラウド利用の拡大、リモートワークの定着、サイバー攻撃の高度化といった現代のIT環境において、従来のセキュリティ対策だけでは限界があります。こうした背景の中で、Netskope Clientは、企業のネットワーク内外における通信を包括的に保護し、業務とセキュリティを両立させるための重要なツールとなります。

総合的な判断での導入がカギ

多機能で柔軟性の高いNetskope Clientは、導入・運用の手間こそあるものの、それに見合うだけの価値を提供します。セキュリティエンジニアや情報システム部門の方が製品導入を検討する際には、単なる技術的要件だけでなく、業務への影響や運用体制までを含めて総合的に判断することが求められます。

本記事が、Netskope Clientの導入検討にあたっての理解を深める一助となり、貴社のセキュリティレベル向上に寄与することを願っております。

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