FortiGate 80Fとは ~中堅企業に最適な次世代ファイアウォールの選定ポイント~

目次

FortiGate 80Fとは

Fortinetのファイアウォール市場での位置づけ

近年、サイバー攻撃の高度化と多様化が進む中で、企業の情報システム部門やセキュリティエンジニアの方々にとって、ネットワークの境界防御はますます重要なテーマとなっています。

そのような状況の中、Fortinet社が提供するFortiGateシリーズは、高性能かつ多機能な次世代ファイアウォール(NGFW)として広く導入が進んでいます。

本記事では、特に中堅企業や拠点オフィスに適したモデルである「FortiGate 80F(FG-80F)」に焦点を当て、その特徴や導入メリット、設計の考慮点などを詳しく解説します。

導入を検討しているセキュリティ担当者の方々にとって、選定や構築の判断材料となるような網羅的な情報を提供いたします。

FortiGate 80Fの基本性能と特徴について

SoC4プロセッサによる高性能化

FortiGate 80Fは、Fortinetのミドルレンジモデルの中でも特にバランスの取れた機種として知られており、中堅規模の企業ネットワークや支社・支店の拠点ネットワークに適しています。

最大4.7Gbpsのファイアウォールスループットを持ち、複数のセキュリティ機能を同時に動作させても安定したパフォーマンスを発揮する設計となっています。

特筆すべきは、SoC4(System-on-Chip)プロセッサを搭載している点です。

このカスタムASICチップにより、アプリケーション制御、IPS(侵入防止システム)、AV(アンチウイルス)スキャンなどの高度なセキュリティ機能をハードウェアレベルで処理でき、他社の同等モデルと比較しても高いスループットと低レイテンシを実現しています。

SD-WAN機能とゼロトラストアクセス対応

また、FortiGate 80FはSD-WAN(Software Defined WAN)機能を標準で備えており、複数のWAN回線を効率的に利用しながら、アプリケーションの優先制御や回線の自動切り替えを行うことが可能です。

これにより、クラウドサービスを多用する企業にとって、安定かつ高速な通信環境の確保が容易になります。さらに、セキュアSD-WANの観点でも、トラフィックの暗号化やゼロトラストアクセスの実装が可能であり、セキュリティレベルを損なうことなく柔軟なWAN設計を実現できます。

FortiGate 80Fの導入メリットと適用シーン

統合セキュリティによるコスト削減

FortiGate 80Fの導入における最大のメリットは、その統合されたセキュリティ機能とコストパフォーマンスの高さにあります。一般的に、ファイアウォール、IPS、アンチウイルス、アプリケーション制御、Webフィルタリング、VPN、SD-WANなどの機能を個別の製品で実装すると、コストがかさむだけでなく管理も煩雑になります。

しかし、FG-80Fではこれらの機能が一体化されており、単一のGUIから一元管理が可能です。

拠点間VPNとリモートアクセス対応

特に中堅企業や、多拠点展開をしている企業の支社・営業所などにおいては、本社との安全な通信路の確保が重要です。FortiGate 80Fは、高性能なIPsec VPN機能を有しており、サイト間VPNの設定もテンプレートベースで簡単に行うことができます。

これにより、ネットワーク管理者の運用負担を軽減しつつ、セキュアなネットワークの構築が可能です。

また、リモートワークが常態化する昨今、SSL-VPNを活用したリモートアクセスの需要も高まっています。

FortiGate 80Fはこの点においても優れており、ユーザー認証、デバイスチェック、ログ取得、ポリシーベースのアクセス制御など、細かな設定が可能です。従業員の利用状況を可視化しながら、企業情報資産の保護を実現できます。

管理・運用のしやすさとFortiManager/FortiAnalyzerとの連携

FortiManagerによる統合ポリシー管理

セキュリティ機器の導入においては、製品単体の性能だけでなく、日々の運用における管理のしやすさも非常に重要な評価ポイントです。

FortiGate 80Fは、Fortinetの統合管理ツールであるFortiManagerおよびFortiAnalyzerとの高い親和性を持ち、複数拠点の機器を一元的に管理・監視することが可能です。

FortiAnalyzerによるログの可視化と分析

FortiManagerを使用すれば、ポリシーの集中管理やテンプレート展開、機器の設定バックアップなどが自動化され、運用ミスのリスクを最小化できます。

また、FortiAnalyzerはログの集中収集と可視化により、ネットワーク全体の挙動を俯瞰できるだけでなく、インシデント発生時の追跡や分析にも威力を発揮します。

これらのツールと連携することで、セキュリティエンジニアは定型的な管理業務から解放され、より戦略的なセキュリティ設計や改善に注力することが可能となります。

実際、複数拠点を持つ企業では、FortiManager/FortiAnalyzerとの組み合わせにより、セキュリティ運用の標準化と省力化を実現しています。

FortiGate 80Fのライセンス体系と費用対効果

FortiGuardとFortiCareの概要

FortiGateシリーズのライセンス体系はシンプルでありながら柔軟性が高く、用途に応じた選択が可能です。基本的なハードウェア購入に加えて、必要なセキュリティサービスをバンドルした「FortiGuardサブスクリプション」が提供されています。

この中には、ウイルス対策、Webフィルタリング、IPS、アプリケーション制御、アンチスパム、サンドボックス、ボットネット防御、脆弱性スキャンといった複数のサービスが含まれており、包括的な防御を実現します。

TCO観点でのコスト最適化

さらに、FortiCareサポート契約により、ハードウェア障害時の交換やファームウェアの更新、24時間365日の技術サポートを受けることが可能となります。中堅企業にとっては、予期せぬ障害時のリスクヘッジとして重要なポイントです。

価格面でも、他社同等製品に比べて初期導入コストおよびランニングコストが抑えられており、導入後のTCO(Total Cost of Ownership)も良好です。

これにより、限られたIT予算の中でも最大限の効果を得ることができるため、費用対効果の高いソリューションとして評価されています。

FortiGate 80F導入時の設計ポイントとベストプラクティス

セグメント分離とVLAN活用

FortiGate 80Fを導入する際には、いくつかの設計上のポイントを押さえておくことで、より効果的な運用が可能になります。

まず、ネットワークトポロジーに合わせた適切なセグメント設計を行うことが重要です。内部ネットワークの信頼性を担保しつつ、部門ごとのアクセス制御やトラフィックの可視化を実現するためには、VLANやゾーンの活用が不可欠となります。

ゼロトラストと認証連携の強化

また、ゼロトラストアーキテクチャの考え方に基づき、ユーザーやデバイスごとの認証・認可を明確にし、最低限のアクセス権限に基づくポリシー設計を行うことが推奨されます。

FortiAuthenticatorやFortiTokenなどの連携製品を利用することで、多要素認証やシングルサインオンなどの高度な認証フレームワークを構築することができます。

定期的な運用改善とログ分析

さらに、定期的な脆弱性スキャンとログの分析を通じて、ポリシーの最適化とセキュリティインシデントの早期検出に努めることが求められます。

これらの取り組みにより、単なるファイアウォールとしてではなく、包括的なセキュリティプラットフォームとしてFortiGate 80Fを活用することができるようになります。

まとめ:FortiGate 80Fは中堅企業に最適な次世代ファイアウォール

情報システム部門が取るべき次のアクション

ここまで、FortiGate 80Fの性能や導入メリット、管理の容易さ、費用対効果、そして設計のポイントまで、導入を検討する上で必要な情報を幅広くご紹介してきました。

セキュリティの脅威が日々進化する現在において、信頼性と柔軟性を兼ね備えたFortiGate 80Fは、中堅企業や支社拠点を持つ企業にとって最適なソリューションといえるでしょう。

セキュリティエンジニアや情報システム部門の方々が、FortiGate 80Fの持つポテンシャルを正しく理解し、自社のネットワーク環境に最適な形で導入できるよう、本記事が一助となれば幸いです。

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