
はじめに
記事の目的
企業の情報システムにおけるセキュリティ対策は日々高度化・複雑化しており、脅威の多様化に対応するためには、高機能なセキュリティ製品の導入と運用が不可欠です。特に、ゼロトラストやクラウドシフトといった潮流が進む中で、企業ネットワークの安全性をいかに保ちつつ、利便性や業務効率を損なわないセキュリティ環境を構築できるかが、今後の情報システム部門やセキュリティエンジニアにとっての重要課題となっています。
本記事では、そのような課題に対し、Fortinet社が提供する次世代ファイアウォール製品「FortiGate」と、それを国内で長年にわたって販売・導入支援してきたSCSK株式会社(以下、SCSK)の取り組みに注目します。FortiGateの特長と、SCSKならではの導入・運用サポート体制について詳細に解説することで、読者の皆様が安心して導入検討を進められる情報を提供いたします。
対象読者
本記事は、企業や官公庁の情報システム部門に所属されている担当者様や、セキュリティソリューションの導入を検討しているセキュリティエンジニアの方々を主な対象としています。特に、FortiGateの導入を具体的に検討している方や、既存のセキュリティ環境の見直しを考えている方にとって、有益な情報を得られる内容となっております。
SCSKとFortinetのパートナーシップ
Fortinet製品の国内展開におけるSCSKの位置付け
SCSKは、Fortinet社の国内正規一次代理店(マスターディストリビューター)として、長年にわたり同社製品の販売・導入・サポートを行ってきた実績を持ちます。多様な業種や規模の企業、官公庁、教育機関などでの導入支援実績を通じて、SCSKはFortiGateを中心としたFortinet製品群の活用に関する豊富なノウハウを蓄積しています。
SCSKの最大の強みは、単なる製品販売にとどまらず、顧客ごとの課題や業務要件に合わせた最適なソリューション設計から、導入後の運用・保守体制までを一貫して提供できる体制にあります。これにより、FortiGateを導入する企業は、設計・導入段階におけるリスクを最小限に抑え、かつ安定した運用を実現することが可能です。
Fortinetとの強固な技術連携
SCSKは、Fortinet社との技術連携にも注力しており、Fortinet製品に関する高度な認定資格(NSE: Network Security Expert)を有するエンジニアが多数在籍しています。これにより、製品の詳細仕様やバージョン管理、複雑な構成変更、トラブルシュートへの対応力を備え、エンドユーザーのセキュリティ体制の強化に貢献しています。
FortiGateの特長と機能詳細
次世代ファイアウォールとしてのFortiGate
FortiGateは、Fortinet社が提供する次世代ファイアウォール(NGFW: Next Generation Firewall)として、単なるトラフィックの制御を超え、包括的な脅威対策を実現するセキュリティアプライアンスです。ファイアウォール機能に加え、侵入防止(IPS)、ウイルス対策、アプリケーション制御、Webフィルタリング、SSL復号、VPN、サンドボックス分析など、多様なセキュリティ機能を1台で提供します。
これにより、従来であれば複数のセキュリティ製品を組み合わせて構成する必要があったネットワークセキュリティが、FortiGateの導入だけで簡潔かつ高い防御力を持つ環境として構築可能になります。さらに、FortiOSと呼ばれる統合OSによって、すべての機能が単一の管理画面で制御でき、運用負荷の軽減にも寄与します。
FortiASICによる高速処理
FortiGateの処理性能を支える重要な要素として、Fortinet独自の専用プロセッサ「FortiASIC(アシック)」の存在があります。これにより、ハードウェアレベルでのセキュリティ処理が可能となり、ソフトウェアベースのファイアウォールと比較しても、格段に高速なパケット処理や低遅延の通信を実現します。
特に、大規模ネットワークや大量トラフィックを扱う企業においては、この高速処理性能が安定稼働の鍵となり、業務への影響を最小限に抑える要因となります。
FortiGateの柔軟なラインアップ
FortiGateは、SOHO向けの小規模モデルから、大企業やデータセンター向けのハイエンドモデルまで、幅広いラインアップを提供しており、企業の規模や用途に応じた最適な選定が可能です。また、近年は仮想アプライアンス型のvFortiGateやクラウドネイティブ版も登場しており、オンプレミスからクラウド環境まで、あらゆるアーキテクチャに対応した展開が実現されています。
SCSKによる導入支援と構築サービス
導入前フェーズの支援
SCSKでは、FortiGate導入に際して、PoC(概念実証)支援サービスを提供しています。これは、実際のネットワークに近い環境でFortiGateを評価し、性能や運用性、既存環境との親和性などを事前に確認するための取り組みです。PoCの実施により、導入リスクを軽減し、納得感を持った上での本格導入が可能になります。
また、SCSKのセキュリティエンジニアが、要件定義やネットワーク設計、セキュリティポリシーの策定支援まで行うことで、組織の業務要件に即した構築計画を策定できます。特に、既存のIT資産との統合や段階的な移行を必要とするケースでも、スムーズな展開を実現します。
導入後フェーズの支援
SCSKは、FortiGate導入後の運用フェーズにおいても、充実した支援体制を整えています。例えば、同社の提供する「CarePlus拡張保守サービス」では、24時間365日の障害受付、迅速なオンサイト対応、先出しセンドバックによる機器交換など、ミッションクリティカルなシステムを支えるための保守体制が完備されています。
さらに、構成変更支援や設定レビュー、セキュリティログの定期監査なども実施しており、セキュリティレベルの維持・向上に向けた長期的な支援を受けることが可能です。
FortiGateと連携するSCSKのSOCサービス
SCSKセキュリティ株式会社が提供するSOC(Security Operation Center)サービスでは、FortiGateを含む各種セキュリティ製品からのログ収集・分析を通じて、脅威の可視化と迅速なインシデント対応を実現します。マルウェア感染や外部攻撃の兆候をリアルタイムで検知し、被害拡大を未然に防ぐ支援を行います。
また、SOCサービスは単なる監視だけでなく、セキュリティレポートの提供、脆弱性情報の通知、対策アドバイスの提示などを通じて、組織のセキュリティ運用を戦略的にサポートします。
多様な導入事例とベストプラクティス
官公庁・自治体での導入事例
SCSKは、地方自治体におけるFortiGate導入支援にも豊富な実績を持っています。特に、LGWAN環境においては、インターネット接続系のローカルブレイクアウト対応や、各自治体のセキュリティポリシーに応じた柔軟なルール設定など、自治体特有の要件に対応した導入を実現しています。
また、自治体向けには、FortiGateと連携した「Threat Intelligenceフィード配信サービス」を無償で提供しており、最新の脅威情報を自動で取得し、ポリシーに反映する仕組みを構築できます。
教育機関におけるGIGAスクール対応
GIGAスクール構想に伴うICT整備においても、SCSKはFortiGateを活用したセキュリティ対策を提案・構築してきました。生徒・教職員が安心してインターネットを利用できるよう、コンテンツフィルタリングやアプリケーション制御、端末ごとのアクセス制御などを通じて、安全な学習環境を提供しています。
ゼロトラストセキュリティへの展開
昨今のセキュリティのトレンドとして注目されているゼロトラストアーキテクチャの構築にも、FortiGateは有効な役割を果たします。FortiGateとFortiAuthenticator、FortiClientを組み合わせることで、ユーザーやデバイスの識別・認証を強化し、信頼できる通信のみを許可するセキュリティ環境が構築できます。
SCSKでは、このようなゼロトラストセキュリティへの対応を見据えた中長期的なセキュリティ戦略の立案支援も行っており、組織の成長とともに進化するセキュリティ基盤の確立を支援します。
まとめと今後の展望
FortiGate導入におけるSCSKの価値
SCSKが提供するFortiGate導入支援は、製品知識に裏打ちされた技術力、業種業態に即した提案力、導入後の支援体制、そして長年の実績によって高く評価されています。単なる製品の販売にとどまらず、セキュリティパートナーとして中長期的な視点で伴走できる体制は、情報システム部門にとって大きな安心材料となるでしょう。
今後のセキュリティ強化へのヒント
ネットワーク境界の曖昧化や、クラウド・モバイル活用の広がりにより、従来型の境界防御では対応しきれない脅威が増加しています。その中で、FortiGateを中心とした多層防御、ゼロトラスト、可視化と対応力の強化は、今後のセキュリティ戦略の柱となるはずです。
SCSKでは、今後もお客様の課題に即した最新ソリューションを提供し続け、セキュリティ強化と業務効率化の両立を実現してまいります。