(写真左から当社CEOの堀居、エグゼクティブアドバイザーの前田氏、コンサルティング事業本部長の持尾)
前田 和則氏
エンジニアとしてキャリアをスタートし、30年以上にわたりIT業界に従事。外資系大手セキュリティ企業にて営業部門長(執行役員、営業本部長など)を歴任し、エンタープライズ直販とチャネル戦略の両面から売上拡大に貢献。
また、大手ファームにてセキュリティコンサルティング部門のマネジング・ディレクターを務め、企業のDX推進やITガバナンス強化を支援。営業と技術の両面からの視点を活かしたソリューション提案と組織マネジメントに強みを持ち、スタートアップの事業立ち上げや成長フェーズの支援にも注力している。
今期より、当社に顧問職として参画いただく。
若くして本質を見据えるチームの覚悟が参画の決め手に
ー AIセキュリティに参画いただいた理由を教えてください。
前田さん:
単なる助言者ではなく、未来を共に設計するパートナーとしての立場を取れると確信したことが、最大の理由です。
初回の打ち合わせで、日本発のセキュリティ人材の未来を本気で創りたいという強い想いをお聞きし、私のこれまでのキャリアを活かして、その実現を支援したいと感じました。AIセキュリティは若いチームですが、すでに本質に向き合う覚悟や生き様を感じました。
堀居:
ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。
お打ち合わせの際に、「人ではなく仕組みを変えていくことが肝要だ」とおっしゃっていたのがとても印象に残っています。まさにその部分は、私たちが目指している方向性と一致していると感じました。
現場経験に根ざしたテクノロジーと顧客をつなぐ視座

ー 前田さんのご経歴を教えていただきたいです。
前田さん:
キャリアのスタートはエンジニアでした。新卒でIT業界に入り、約7〜8年間、毎日コードを書く日々を送りました。後半は、FTE(正規従業員)や契約ベースのエンジニアの方々と、多言語が飛び交うような環境でチームを編成し、プロジェクトを回す経験も積みました。エンジニアとしてひと通りの経験を重ね、次のフェーズとしてコンサルタント職を目指すようになったのが転機でした。
転職先では当初、コンサルタント職でのオファーをいただいていたのですが、入社の時点で組織自体がなくなり、営業職への再オファーをいただきました。思い切ってその道に進んだのが、外資系企業での営業キャリアのはじまりです。それから現在に至るまで、IT企業の営業組織づくりや、セキュリティベンダーのアライアンス戦略立案・実行などに取り組んできました。
堀居:
ファーストキャリアでコーディングから始められ、ITの実現場を見てこられたうえで営業に移られているご経歴に、深い説得力を感じました。
前田さん:
まさに、現場を経験できたことは私のキャリアに大きな影響を与えていると思います。IT業界ではテクノロジーが本質的な要素だと考えていて、それをどうお客様のメリットに変換できるかはずっと意識してきました。プロダクトのフィット・ギャップを見極めて、技術的な特性をどう活かすかという姿勢は、今も変わらず自分の中に根付いています。
ー キャリアの変遷の中で共通して感じられた課題はありますか?
前田さん:
営業として常に直面してきたのは、「売りたいもの」と「お客様が本当に求めているもの」とのギャップです。とくにセキュリティベンダーでは、提供する側が自社プロダクトに回帰せざるを得ない構造があり、それが顧客の潜在ニーズと乖離してしまう事も多々ありました。
重要なのは、自社製品を“売る”のではなく、顧客が自然と「欲しい」と感じられるよう、価値の翻訳フレームを構築し、現場に定着させることを自らの営業スタイルとしてきました。
堀居:
まさに”変換力”と呼べる視点ですね。弊社でも非常に注目しているテーマですので、ぜひ今後ともご教示いただきたいです。
熱量と堅実性が共存するバランス感覚に優れた組織

ー AIセキュリティに見られる組織の特徴について、どのように感じられていますか?
前田さん:
プロフェッショナルとしての意識と、若さゆえの柔軟性をあわせ持っている点に、他社との明確な違いを感じています。
堀居:
とても嬉しいです。せっかくなので伺いたいのですが、より具体的にはどういったところからそう感じられたのでしょうか?
前田さん:
施策を回していくスピードが速いということですね。仮説を立ててすぐに実行して、失敗したところもすぐに改善する。そこは他社と比べても極端に速いと思いますね。
堀居:
弊社では「Speed is Power」というバリュー(行動指針)を掲げており、失敗を恐れず挑戦し、そこから学ぶことを大切にする文化を意識してきました。そうした点を感じ取っていただけたのであれば、とても嬉しく思います。
前田さん:
加えて、この業界を変えていくという強い想いが、組織全体のベースにあるように思います。その想いがあるからこそ、ブレない芯の強さを感じるのかもしれません。
堀居:
ありがとうございます。熱意と専門性の掛け合わせにより、さらなる飛躍を目指したいと考えています。
また、熱量に加えて堅実性とのバランスも、手前味噌ながら良い感覚で保てていると感じています。たとえば私自身も監査法人出身で堅実さを重んじていますし、他の経営メンバーには学生時代から起業し、バイアウトまで経験したようなチャレンジ志向の人間もいます。
前田さん:
まさにそういったバランス感覚が、AIセキュリティらしさですよね。
プロ人材がいないのではなく、活かす環境が整っていない

ー 現在のセキュリティ業界において、課題だと感じられている点はどこにありますか?
前田さん:
今のセキュリティ業界全体を見た時に、セキュリティベンダーの思いがどうしても強いので、市場競争の中で自社製品への依存が強まっている印象があります。構造的にやむを得ないところがありますが、企業が抱える経営とセキュリティが非常に乖離しているような現状があると思います。
堀居:
確かに、実際にいろんな経営者の方々とお話しをした際にもセキュリティは守り一辺倒のイメージがあり、「コストセンター」だという印象を経営陣から見られてしまっている。そこをどうにか変えていきたいという思いがあります。
前田さん:
セキュリティは、もはや単なる防御策やコストセンターではなく、むしろ、経営課題を解決するための戦略的なアプローチなんですよね。そして、この複雑な課題を真に解決し、ビジネスを前進させるためには、「人」の専門知識と洞察力が不可欠であると私は考えています。
セキュリティ人材が不足していると言われがちですが、真の課題は、その人材を育て、活かす仕組みの欠如にあると捉えています。セキュリティ業界を目指すアナリストやコンサルタント志望の方は増えてきていますが、そういった人たちが自分で学び、育っていけるような仕組みがまだまだ不十分だと感じています。
堀居:
プロ人材がいないというよりは、その力を生かす“土壌”がない、ということですね。
前田さん:
まさにその通りです。だからこそ、AIセキュリティが掲げる「人材スケールアウト構想」は、非常に意義のある取り組みだと思います。
堀居:
ありがとうございます。私たちの構想に共感いただけているとのことで、とても心強いと感じていますし、追い風になっています。
前田さん:
一緒にこの業界に風穴を開けていきましょう!
堀居:
是非ともよろしくお願いいたします!
「AIを守る」「AIで守る」二つの視点が鍵となる時代へ
ー AIとセキュリティの関係性について、今後どのような論点が重要になってくるとお考えですか?
前田さん:
今後の本質的な論点は、「AIそのものを守る視点」と「AIを活用して守る視点」の両輪をどう設計していくかに集約されていくと考えています。
例えば、生成AIにおけるプロンプトインジェクションやモデルの改ざんといったリスクは、既存の対策では到底カバーしきれません。だからこそ、利用ルールやガバナンスの設計、さらにはユーザー教育の重要性がこれまで以上に高まってくると考えています。
堀居:
まさに、弊社が大切にしている「人と組織に伴走する」という価値観は、AI×セキュリティという領域で特に活きてくると感じています。また、私たちのスローガンである「SECURE TODAY, DESIGN TOMORROW(今日を守り、明日を築く)」には、“守り”と“攻め”の両方に向き合うという意思を込めています。その考えのもと、AIを活用しながら未来を設計し、同時にリスクに備える取り組みをより一層強化していきたいと考えています。
前田さん:
まさにその通りですね。AIセキュリティ時代における真のパートナーとして、AIセキュリティという会社は今後さらに存在感を発揮していけると感じています。
セキュリティが民主化された社会を見据えて

ー AIセキュリティに期待していることや一緒に実現していきたい未来を教えていただきたいです。
前田さん:
一言で言うと「セキュリティの民主化」をしていきたいと考えています。
堀居:
民主化というのはどういうことでしょうか?
前田さん:
いわゆるセキュリティの専門家が語っているような世界だけではなく、誰もがわかる・使える・守れると言ったセキュリティを実装していく、それを一言で言うと民主化という言葉に落ち着きました。
堀居:
まさに私たちがミッション・ビジョンに掲げている「セキュリティの裾野を広げる」という考え方と重なります。とはいえ、裾野を広げていくには難しさもあると思っておりまして、その鍵はどこにあるのか、ぜひ学ばせていただきたいです。
前田さん:
まずはわかりやすさですよね。それと再現性がないと広がりも定着もしないので、この二つが重要な鍵になると思います。
堀居:
まさに、セキュリティの民主化に向けて、具体的にどう実装していけるか。今後もぜひ一緒に意見を交わしていければ嬉しいです。
ー 今後、AIセキュリティにおけるご自身の役割について、どのようにお考えでしょうか?
前田さん:
端的に表すならば、“翻訳者”です。今まで培ってきた業界知識や専門的な視点を、現場の方々が実践で活かせる言葉や仕組みに翻訳していくことが、自分の使命だと考えています。
堀居:
まさにその“翻訳者”としての役割を、すでに社内外問わず発揮いただいていて、とても心強く感じています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。一緒に、未来を築いていければ嬉しいです。
前田さん:
ともに築いていきましょう。
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