後悔しないFortiGate導入!価格・ライセンス(UTP/Enterprise)比較とコスト削減の全ポイント

目次

はじめに

UTM(Unified Threat Management / 統合脅威管理)市場において、トップクラスのシェアを誇るFortiGate。 その高い性能と豊富な機能から、多くの企業で導入されています。

しかし、いざ導入を検討し始めると、その複雑な価格体系に戸惑う担当者は少なくありません。 「本体価格はいくらなのか」「ライセンスの種類が多すぎて、どれを選べば良いかわからない」「結局、総額でどれくらいのコストがかかるのか」といった疑問は、多くの人が抱く共通の悩みです。

本記事では、こうした疑問を解消するため、FortiGateの価格を構成する要素から、サブスクリプションライセンスの種類、導入後の運用コストまで、多角的な視点から徹底的に解説します。

単なる価格の紹介にとどまらず、企業の規模やニーズに応じた最適なモデル選定のポイントや、コストパフォーマンスを最大化するための考え方についても掘り下げていきます。

この記事を通じて、FortiGateの価格に関する全体像を正しく理解し、自社にとって最適なセキュリティ投資を行うための一助となれば幸いです。

FortiGateの基本ラインナップと価格の構成要素

FortiGateシリーズには、スモールビジネス向けのエントリーモデルから、データセンターや大規模エンタープライズ向けのハイエンドモデルまで、非常に幅広いラインナップが用意されています。

モデルごとの性能やインターフェース構成に応じて、本体価格が異なるのはもちろんですが、加えてFortiGateはサブスクリプションライセンスを前提としたビジネスモデルを採用しています。

たとえば、FortiGate 40Fや60Fといった小型モデルは、比較的導入しやすい価格帯に設定されており、小規模オフィスやリモート拠点向けの用途に最適です。

一方で、FortiGate 100Fや200F、さらに上位の600Fや1800Fクラスになると、ハードウェア本体価格だけでも数十万円から数百万円規模となることが一般的です。

価格を構成する三位一体の要素

FortiGateの価格を評価する際には、以下の3つの構成要素を把握しておくことが極めて重要です。

1. 製品本体の価格

これは物理アプライアンスまたは仮想アプライアンスの購入費用を意味します。
物理機器の場合、インターフェースの種類や帯域性能に応じて価格が上下し、仮想アプライアンス(VM)であれば、CPUやライセンスのコア数によって金額が決まります。

2. サブスクリプションライセンス (FortiGuard)

最も見落とされやすいですが、実質的に最も重要なのがサブスクリプションライセンスです。

FortiGuardと呼ばれるセキュリティサービス群が、年間契約の形で提供され、これが機器の能力を最大限に引き出す要となります。

例えばアンチウイルス、IPS(侵入防御)、Webフィルタリング、アプリケーション制御、サンドボックスといったサービスは、すべてこのFortiGuardサブスクリプションに含まれています。

3. サポート契約 (FortiCare)

FortiCareと呼ばれるサポート契約も費用に含まれる場合があります。
これはハードウェア障害時の先出し交換やソフトウェアアップデート、テクニカルサポートなどを提供するもので、24×7体制のサポートを受けることが可能です。

このように、FortiGateの価格は「本体価格」+「FortiGuardサブスクリプション」+「サポート(FortiCare)」の三位一体で構成されており、導入後の実運用を想定した際には、これらすべてを含めたトータルコストでの評価が必要となります。

サブスクリプションプランと機能別の価格比較

FortiGateを導入する際に最も悩ましいポイントのひとつが、どのサブスクリプションプランを選定するかという問題です。

代表的な3つのサブスクリプションバンドル

FortinetはFortiGuardサービスを複数のバンドルとして提供しており、代表的なものに以下の3つがあります。

  • UTP(Unified Threat Protection)バンドル
  • Enterprise Protection(ENT)バンドル
  • 360 Protectionバンドル

UTP (Unified Threat Protection) バンドル

UTPバンドルは最も基本的なセキュリティ対策を包括したプランで、アンチウイルス、IPS、Webフィルタ、アプリケーション制御といったコア機能が含まれます。 多くの中小企業ではこのプランで必要十分なセキュリティレベルを実現できることが多く、価格も抑えられています。

Enterprise Protection (ENT) バンドル

Enterprise Protectionバンドルは、さらに高度な脅威インテリジェンスや、クラウドベースのサンドボックス(FortiSandbox Cloud)などが含まれ、ゼロデイ攻撃などへの対応力が大幅に強化されます。

セキュリティポリシーが厳しい業界や、クラウド連携を重視する企業ではこちらが選ばれる傾向にあります。

360 Protectionバンドル

360 Protectionはその名の通り、セキュリティ対策だけでなく、管理・運用面を支援する機能(たとえばFortiAnalyzerによるログ分析、FortiManagerによる集中管理など)も統合した最上位プランです。

複数拠点での統一運用やマルチベンダー環境下での運用効率化を狙う大企業には適していますが、価格帯としても高額となるため費用対効果の検討が求められます。

導入時の費用感の目安

導入時の費用感としては、たとえばFortiGate 60F本体が15万円前後、UTP1年ライセンスが10万円前後、サポート込みで合計25万円〜30万円程度が一般的な水準です。

これがENTバンドルや360バンドルになると、それぞれ+5万〜15万円程度加算されることが多くなります。

FortiGateの価格に影響する要素と導入パターン別の考察

FortiGateの価格は、選定するモデルやライセンス構成に加え、実は「導入方法」や「調達経路」によっても大きく変わる可能性があります。

ハードウェアか仮想アプライアンスか

まず、ハードウェアか仮想アプライアンスかという選択は大きな分岐点です。
オンプレミス中心の中小企業であれば、物理アプライアンスが現実的な選択肢ですが、クラウドネイティブな企業や仮想化環境が整備されている企業では、FortiGate VMシリーズを利用することで柔軟なスケーリングが可能になります。

VM版の場合、CPUコア数やVMインスタンスタイプに応じた課金モデルが採用されており、長期運用ではコストメリットが出る場合もあります。

調達経路による価格差

次に、ベンダーを通じて購入する場合と、一次代理店や大手ディストリビューターを経由する場合でも、提示される価格や割引率が異なるケースが多々あります。

特に案件ベースの数量割引や、Fortinet認定パートナーによるキャンペーン適用などによって、数十パーセント単位の価格差が出ることもあります。

初期投資を抑える選択肢

また、PoC(Proof of Concept)による事前評価や、リース契約を前提とした柔軟な支払いスキームも選択肢として存在します。

初期投資を抑えたい場合には、月額数千円〜数万円のレンタル提供を行っているSIerもあり、そうしたサービスを活用することで導入のハードルを下げることができます。

FortiGate導入後に発生する運用・保守コストとその最適化

FortiGateを導入する際、つい本体価格とライセンス費用のみに着目しがちですが、実際のTCO(Total Cost of Ownership=総保有コスト)を考慮するには、導入後に発生する運用・保守コストも重要な評価軸となります。

TCOで考える運用・保守コスト

運用コストの中でも大きな要素は、定期的なポリシー設定変更やルールの更新、ファームウェアアップグレード、そしてログの保管・分析業務です。

FortiGateはGUI操作が比較的分かりやすく設計されているため、基本的な設定作業は社内のIT担当者でも可能ですが、高度なチューニングや障害時のトラブルシュートには専門的なスキルが求められる場面もあります。

運用効率化ツール (FortiManager/FortiAnalyzer)

そこで注目したいのが、Fortinetが提供するFortiManagerやFortiAnalyzerといった周辺ツールの活用です。

FortiManagerを用いれば、複数拠点にまたがるFortiGate機器の一元管理が可能になり、設定変更やポリシー展開の作業を大幅に効率化できます。

FortiAnalyzerでは、膨大なログデータの中からインシデントの兆候を見逃さずに検出でき、手動によるログ調査の手間を省くことが可能です。

保守コストを左右するサポートレベル

また、保守コストに関しても、サポートレベルの選定が予算に大きな影響を及ぼします。

Fortinetでは主に「8×5(平日対応)」と「24×7(年中無休)」の2種類のサポート契約が用意されており、万が一の障害発生時に迅速な対応を望む場合は、やはり24×7サポートを選択する必要があります。

障害発生時のダウンタイムによるビジネスインパクトを考慮すれば、多少コストが上がってもリスク回避としての意味は大きいと言えるでしょう。

マネージドサービスの活用

さらに、最近ではマネージドサービスとして、外部のセキュリティベンダーに運用保守そのものを委託する「SOC付きFortiGate運用」も選択肢の一つになっています。

自社内に十分なセキュリティリソースがない場合でも、こうしたサービスを活用することで、24時間体制の監視・分析・対応を外注化することが可能です。

これにより、人件費の削減とサービス品質の向上を同時に実現できる場合があります。

FortiGateの価格を正しく評価するための導入事例と費用対効果

価格だけを見て高い・安いと判断するのではなく、どのような機能をどのように使って、どれだけの効果が得られるのかを定量・定性的に評価することが、真に賢い製品選定といえるでしょう。

ここでは、いくつかの代表的な導入事例をもとに、FortiGateのコストパフォーマンスを評価する視点をご紹介します。

ケーススタディ1:中堅製造業の例

ある中堅の製造業企業では、もともとファイアウォール、アンチウイルス、Webフィルタリングなどの製品を個別に運用していたため、保守ベンダーも分かれ、トラブル時の対応に時間を要していました。

そこで、統合型セキュリティ製品であるFortiGateを導入し、UTPライセンスで一元化したところ、セキュリティ機能の統合によって運用負荷が50%以上削減され、さらに年間数百万円規模のコスト圧縮に成功したという結果が報告されています。

ケーススタディ2:ITベンチャーの例

また、別のITベンチャーでは、クラウド環境におけるセキュリティ強化のためFortiGate VMを採用し、サンドボックス機能付きのEnterpriseバンドルを契約しました。

これにより、マルウェア感染リスクの低減とゼロデイ攻撃への対策が可能となり、外部委託していたセキュリティ監視費用を削減できたという成果が得られました。

導入は「支出」ではなく「投資」

FortiGateは、単なるセキュリティ装置としての側面だけでなく、業務効率や人的リソースの最適化といった視点でも評価することができます。

たとえば、ポリシーの自動化や可視化ダッシュボードの活用により、現場担当者の学習コストやミスを軽減することができ、人的コストの抑制にも貢献します。

こうした視点から、FortiGateの導入は「支出」ではなく「投資」として捉えるべきという考え方が、徐々に企業の中でも浸透しつつあります。

FortiGate価格の全体像と導入判断のポイント

FortiGateの価格について正しく理解するには、本体価格だけではなく、サブスクリプションライセンス、サポート契約、導入形態、運用保守費用など、複数の観点から多角的に評価する必要があります。

導入する企業の規模や業種、情報セキュリティに対する考え方、運用体制の成熟度によって、最適なモデルやサービス構成は大きく異なります。

企業ごとに異なる最適な構成

たとえば、初期費用を抑えたい企業では、ミドルレンジのモデルとUTPライセンスの組み合わせが適しており、高度な脅威分析や多拠点管理を重視する企業では、Enterpriseや360バンドルを選択することで、セキュリティ水準を高く保ちながら運用効率を確保できます。

長期的な視点での選定

また、価格だけでなく、機能の拡張性やサポート体制、今後のビジネス成長に応じたスケーラビリティも加味することで、長期的に後悔しない選定が可能となります。

パートナー連携の重要性

最後に、FortiGateの価格は「高いか安いか」ではなく、「自社にとって適正かどうか」で判断すべきものです。

そのためには、信頼できるパートナーやリセラーと連携し、PoCやヒアリングを通じて、導入前の設計段階から綿密な検討を行うことが不可欠です。

おわりに

本記事では、FortiGateの価格に関する多面的な要素について解説してきました。 本体価格、サブスクリプション、サポート、そして導入後の運用コストまで含めたTCO(総保有コスト)で評価することの重要性をご理解いただけたかと思います。

最終的にFortiGateを導入するかどうかの判断は、単なる価格の比較ではなく、「自社のセキュリティポリシーや事業環境に対して、どれだけの価値を提供してくれるのか」という費用対効果の視点が不可欠です。

UTPライセンスで十分な企業もあれば、Enterpriseや360 Protectionバンドルがもたらす高度な保護と運用効率化が、ビジネス成長の鍵となる企業もあるでしょう。

最適な一台、そして最適なプランを選び抜くためには、自社の現状と将来像を明確に描き、信頼できるパートナーと共に検討を重ねることが成功への近道です。

本記事が、そのための確かな一歩を踏み出すきっかけとなれば、これに勝る喜びはありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次