「一人情シス」の救世主!コスパ最強UTM「FortiGate 60F」導入から運用まで完全ガイド

目次

はじめに

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、サイバー攻撃はますます巧妙化・多様化しており、ネットワークセキュリティの強化はあらゆる組織にとって最重要課題の一つとなっています。

特に、専任のセキュリティ担当者を置くことが難しい中小企業や多拠点を持つ企業では、高性能でありながら導入コストを抑え、かつ運用しやすいセキュリティ対策が強く求められています。

数多くのセキュリティ製品が市場に存在する中で、「自社に最適な一台」を見つけ出すことは容易ではありません。 コスト、性能、将来の拡張性、そして日々の運用負荷といった複数の要素を天秤にかけ、総合的に判断する必要があります。

本稿では、こうした課題に対する有力な解決策として、Fortinet社が提供する次世代ファイアウォール「FortiGate 60F」に焦点を当てます。

エントリーモデルでありながらエンタープライズクラスの機能を備えた本製品が、なぜ多くの企業に選ばれているのか。

その性能、特徴、具体的な活用シナリオから統合運用によるメリットまでを多角的に掘り下げ、製品選定の一助となる情報を提供します。

次世代ファイアウォールの新たな選択肢

FortiGate 60F(以下、FG-60F)は、Fortinet社が提供する次世代ファイアウォール(NGFW)のエントリーモデルの一つであり、中小規模の拠点や支社、またはリモートオフィスなどに最適化されたセキュリティアプライアンスです。

FortiGateシリーズは、企業のセキュリティネットワークを統合的に守るためのプラットフォームであり、その中でも60Fは高い処理性能と豊富なセキュリティ機能を、手頃なコストで提供する点が大きな魅力です。

UTMの課題とFG-60Fの位置付け

多くの情報システム部門やセキュリティエンジニアにとって、UTM(統合脅威管理)機能と拡張性のバランスを備えた製品選びは悩みの種となっています。

とりわけ、セキュリティ製品は導入コストだけでなく、設置後の運用負荷や拡張性、更新性なども含めて検討すべきであり、単なるスペック比較だけでは判断が難しいのが現実です。

そうした背景の中で、FG-60Fは「Security-Driven Networking(セキュリティ駆動型ネットワーキング)」というFortinetのビジョンに基づき、従来のファイアウォール機能に加えて、IPS(侵入防御システム)、Webフィルタリング、アプリケーション制御、SSLインスペクション、サンドボックスとの連携など、あらゆる脅威からの多層防御を一つの筐体で提供します。

独自開発SoC4による高性能の実現

また、FG-60FはSoC4(System on a Chip 4)と呼ばれるカスタムASICを搭載しており、これはFortinet独自の高速化技術です。

一般的なCPUベースのアプライアンスでは難しいスループットの維持や低レイテンシーな通信を、専用チップにより実現することで、高性能かつ低コストという一見相反する要件を両立しています。

このように、FG-60Fは単なるルータやファイアウォールを超えて、セキュリティの中心に据えるべき「プラットフォーム」としての位置付けを持つ製品なのです。

FortiGate 60Fの特徴と性能

FortiGate 60Fがなぜ中小規模ネットワークのセキュリティ対策に最適なのかを理解するには、そのスペックとユースケースを深掘りする必要があります。

エントリーモデルを超える高いスループット

まず、FG-60Fは最大10台までのユーザー環境を想定しており、最大で7 Gbpsのファイアウォールスループットを誇ります。

これはエントリーモデルとしては非常に高性能であり、バックアップやリモートアクセス、VPN通信を含む実ネットワーク環境においてもボトルネックとなることはほとんどありません。

柔軟なインターフェース構成

また、FG-60Fはインターフェース構成も柔軟です。 10個のGEポートに加えて、WANポートも2系統用意されており、負荷分散や冗長化構成にも対応可能です。

さらに、PoE対応モデル(FortiWiFi 60F-POE)もあり、無線APやIPカメラなどを直接接続できる設計も、拠点構築における利便性を高めています。

直感的な運用を可能にする統合OS「FortiOS」

そして、単なるハードウェア性能だけではなく、FortiOSと呼ばれる統合OSの存在もFG-60Fの大きな武器です。

このOSにより、GUIから直感的にポリシー設定、VPN構築、セキュリティインスペクションの有効化、ログの可視化などが実現できます。 CLIでの細かな制御も可能なため、スキルに応じた柔軟な運用が可能です。

最新の脅威に即応する「FortiGuard」

さらに、FortiGuardと呼ばれる脅威インテリジェンス機能により、最新のマルウェアやC2サーバー、ボットネットなどへのアクセスを即座に遮断できるのも特徴です。

これはFortinetが日々世界中から収集している脅威情報に基づき、リアルタイムでアップデートされており、ゼロデイ攻撃や未知のマルウェアにも即応できる設計となっています。

このように、性能、拡張性、セキュリティ運用のしやすさを総合的に備えている点で、FG-60Fは「少人数で効率的なセキュリティ体制を構築したい」企業にとって理想的な選択肢といえるのです。

FortinetのSecurity Fabricと統合運用の利点

FG-60Fを導入する最大のメリットの一つが、Fortinetの提供するSecurity Fabricとの統合運用です。

Security Fabricは、Fortinet製品をはじめとした各種セキュリティソリューションを一元的に連携させるフレームワークであり、ネットワークの可視化・統合・自動化を目的とした概念です。

ログの集中管理とポリシーの一元化

たとえば、FortiAnalyzerとの連携により、ログの集中管理と分析が可能になります。
これにより、複数拠点にわたる脅威の兆候をいち早く検知し、アラートとして可視化できます。

さらに、FortiManagerと組み合わせれば、ポリシー設定やファームウェア管理も一括で行えるため、多拠点展開時の運用コストも削減できます。

エコシステム連携による「境界のないセキュリティ」

また、EDR(Endpoint Detection and Response)製品であるFortiEDRや、メールセキュリティを強化するFortiMail、あるいは無線LANとの連携を実現するFortiAPなどと組み合わせることで、まさに「境界のないセキュリティ」の実現が可能となります。

各コンポーネントが独立して動作するのではなく、イベントベースで連携し合い、自動的に封じ込めや隔離、リスクスコアリングを行う仕組みがSecurity Fabricの本質です。

このように、単体として優れた性能を発揮するFG-60Fですが、Fortinetのエコシステムの中でこそ、その真価を発揮します。

特に人的リソースが限られている中小企業にとっては、「一人情シス」のような運用体制でも回るセキュリティ設計が可能となる点は非常に大きな魅力です。

導入前に知っておきたいFG-60Fの実運用シナリオ

FG-60Fの導入を検討する際に参考となるのが、具体的なユースケースです。

拠点間VPNとテレワーク対応

地方拠点のセキュリティ強化を目的とした導入ケースでは、WANインターフェースを用いた本社とのVPN構築が基本となります。

IPsec VPNを使った拠点間接続は、SSL VPNによるテレワーク対応とも並行して構成可能であり、状況に応じて切り分けることで安全性と利便性の両立が図れます。

クラウドサービスとのセキュアな接続

近年急増しているクラウドとの接続に関しても、FG-60FはAzure、AWS、Google CloudとのIPsec VPNに対応しており、ハイブリッド環境における通信の暗号化やアプリケーション制御も容易です。

実際、Microsoft 365やGoogle WorkspaceなどSaaSとのトラフィックについても、アプリケーション単位でのQoS制御や帯域確保が可能なため、快適な利用環境を保つことができます。

特定業種での多層防御

教育機関や病院など、セキュリティが強く求められる一方で、ITリソースが限られている環境でも、FG-60Fは重要なソリューションとなります。

Webフィルタリングやコンテンツ制御、USBデバイスの接続制限なども行えるため、情報漏洩対策や不正アクセス防止に対して多層的な防御が可能です。

SD-WANによる回線最適化

さらに、SD-WAN機能の活用により、回線コストの削減とアプリケーションごとの優先制御を両立することも可能です。

従来であれば拠点ごとに高額な専用回線を敷設していたケースでも、インターネット回線+SD-WAN構成により、パフォーマンスとセキュリティのバランスが取れた運用が実現できます。

FG-60F導入に伴う構築・運用設計の考え方

FG-60Fの導入にあたっては、単に物理的な設置や配線を済ませるだけでは不十分です。
業務要件や組織のセキュリティポリシーに基づいた設計と、運用体制の確立が求められます。

ここでは、導入検討フェーズから運用開始後のポイントまでを整理してみましょう。

設計の第一歩:既存ネットワークの把握

まず、最初に行うべきは、既存ネットワークの把握と脅威モデルの整理です。
どのようなトラフィックが出入りしており、どの資産が外部からのアクセスを受けるのかといった点を明らかにすることで、最適なポリシー設計の出発点を定めることができます。

FG-60Fはゾーンベースでのアクセス制御が可能であり、DMZ、LAN、WANといった論理区分を活用することで、役割に応じたトラフィックの分離と管理が容易になります。

最適な通信経路の設計

次に重要なのがVPNとSSLインスペクションの設計です。
最近では、SaaSの利用が増加しており、全ての通信を一括でVPN経由にする設計は逆にパフォーマンスを阻害する恐れがあります。

FG-60Fでは、アプリケーション単位でのトラフィック識別と分岐が可能なため、たとえばMicrosoft 365の通信はインターネットから直接出す一方で、社内システムへのアクセスはVPN経由とするなど、柔軟な制御が可能です。

暗号化通信の可視化

SSLインスペクションの活用もまた鍵となります。
多くの通信がTLSで暗号化される現代において、悪意ある通信もSSLを通じて隠ぺいされる傾向にあります。

FG-60FはフルSSLインスペクション機能を備えており、適切な証明書配布と例外設定を行うことで、セキュアでありながら業務を妨げない運用が可能です。

運用フェーズの効率化

運用フェーズでは、FortiAnalyzerやFortiManagerを用いた監視とレポートの自動化が大きな助けになります。

これらのツールにより、インシデントの早期発見や月次レポートの自動生成が可能となり、限られた人員でも効率的な運用体制を構築できます。

継続的なセキュリティの維持

また、セキュリティ製品は一度導入すれば終わりではなく、日々のポリシー改善やシグネチャ更新、ソフトウェアのアップデートなどが欠かせません。

FortinetではFortiCareやFortiGuardといったサポートサービスが充実しており、これらを活用することで、常に最新かつ安全な状態を維持することが可能です。

このように、FG-60Fの導入には初期設計から継続的運用まで一貫したアプローチが必要ですが、その分、安定したセキュリティ基盤を築くことができるため、長期的な視点での投資効果は非常に高いといえるでしょう。

FortiGate 60Fはどのような組織に適しているか

ここまでの解説を通じて、FG-60Fの性能、機能、統合性について理解が深まったかと思います。

最後に、FG-60Fが実際にどのような組織に向いているのかを導入判断の材料としてまとめておきましょう。

中小企業や小規模拠点に最適

まず、明確に適しているのは、社員数10名から50名程度の中小企業や、地方拠点、リモートオフィスといった小規模拠点を持つ企業です。

これらの組織では、セキュリティ専任者が存在しないことも多く、「なるべく簡単に、でもしっかりとした対策をしたい」というニーズが顕著です。

FG-60FはGUIベースでの簡易な運用が可能である上、デフォルトでも十分に高性能なUTM機能を備えており、まさにこの要件にマッチしています。

将来の拡張を見据えたスケーラビリティ

また、拡張性の高さから、将来的に拠点数の増加や機能強化を見越している企業にも適しています。

FortinetのSecurity Fabricに対応した他製品と組み合わせることで、徐々にセキュリティの統合度を高めるスケーラブルな設計が可能です。

たとえば、最初はFG-60F単体での導入から始め、後にFortiAnalyzerやEDR製品を追加導入することで、段階的にセキュリティレベルを高めていくことができます。

法令順守と監査対応への貢献

さらに、セキュリティ対策を法令順守や監査の観点から強化したい組織にとっても、FG-60Fは強力な味方となります。

個人情報保護法、マイナンバー制度、PCI DSSといった基準への対応が求められる中で、ログ管理、脅威検知、トラフィック制御といった多層防御を一つのアプライアンスで実現できるのは大きなメリットです。

上位機種との比較

反対に、非常に大規模な通信トラフィックや、マルチキャリアでの冗長構成、BGPやOSPFといった高度なルーティング制御が求められるようなエンタープライズ環境においては、上位機種であるFG-100Fシリーズや300Fシリーズの方が適しているケースもあります。

ただし、分室や部署単位での導入であればFG-60Fは非常に有効な選択肢です。

結論として、FG-60Fは「手頃な価格で本格的なセキュリティを導入したい」「将来に向けて拡張性のあるセキュリティ基盤を構築したい」「限られた人材でも運用できるセキュリティを求めている」といった要件を持つ多くの企業・組織にとって、非常に価値の高い選択肢と言えるでしょう。

まとめ

FG-60Fは、単なるエッジファイアウォールではなく、Fortinetの技術力と統合セキュリティの思想を凝縮した「多機能かつ高性能なセキュリティプラットフォーム」です。

高性能SoC4による処理能力、FortiOSの柔軟性、FortiGuardの脅威インテリジェンス、Security Fabricによる統合運用、そして何より、エンジニア目線で見たときの「運用のしやすさ」という点で、非常にバランスの取れた製品です。

セキュリティエンジニアや情報システム部門の方が導入を検討する際、FG-60Fは「ちょうどいい選択肢」でありながら、その実力はエンタープライズにも通じるポテンシャルを持っています。

今後のネットワークセキュリティを支える一台として、ぜひ前向きに検討すべき価値ある製品です。

おわりに

本稿では、Fortinet社の次世代ファイアウォール「FortiGate 60F」について、その性能や機能、そして統合的なセキュリティフレームワークである「Security Fabric」との連携に至るまで、多角的に解説しました。

FG-60Fは、単に外部からの脅威を防ぐ「壁」としてだけでなく、ネットワーク全体の可視化と自動化を実現する「セキュリティの中核」としての役割を担う製品です。

独自の専用チップSoC4がもたらす高いパフォーマンス、直感的な運用を可能にするFortiOS、そしてFortiAnalyzerやFortiManagerと連携した統合管理は、特に人的リソースが限られる中小企業や拠点において、堅牢かつ効率的なセキュリティ体制の構築を力強く支援します。

導入のしやすさと将来の拡張性を両立している点も、長期的な視点で見れば大きなメリットと言えるでしょう。

ネットワーク環境が複雑化し、セキュリティに求められる要件が刻々と変化する中で、FG-60Fのような「賢く、強く、使いやすい」ソリューションの価値はますます高まっています。

本稿で紹介した情報が、皆様の組織におけるセキュリティ基盤の強化と、ビジネスを安心して推進するための最適な製品選びの一助となれば幸いです。

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