HENNGE Email DLPで実現する情報漏えい防止 ~メールセキュリティを根本強化する統合ソリューション~

目次

はじめに

ビジネスの中核を担うメールコミュニケーションは、多くの機密情報や個人情報をやり取りする場であると同時に、情報漏えいや誤送信によるセキュリティインシデントのリスクもはらんでいます。

昨今では、フィッシングメールやランサムウェアといった外部脅威に加え、内部不正や操作ミス、サプライチェーンを介した攻撃など、メールを起点とする脅威の高度化・複雑化が進んでいます。このような状況下で、企業は単なるウイルススキャンやスパムフィルタリングだけでは対処しきれない課題に直面しています。

HENNGE Email DLPは、従来のメールセキュリティにDLP(Data Loss Prevention)を統合し、送受信時の機密情報検知から自動対処、管理・可視化までを一貫して提供するクラウド型ソリューションです。

特にコンプライアンス要件の強化やリモートワークの普及によるメール脅威の増加に対応し、シームレスかつスケーラブルに導入・運用できる点が大きな特長です。

本記事では、HENNGE Email DLPの概要から具体的な機能解説、導入・運用ポイント、他社製品比較、導入事例、そして今後の展望までを解説します。

セキュリティエンジニアや情報システム部門担当者の方が製品導入を検討する際に役立つ情報を網羅的にお届けします。

1. HENNGE Email DLPとは何か

1.1 製品概要とアーキテクチャ

HENNGE Email DLPはクラウドネイティブなサービスとして提供され、メールゲートウェイの前段に配置されるリバースプロキシ型アーキテクチャを採用しています。

これにより、既存のメールシステムやMTA(Mail Transfer Agent)に大きな変更を加えることなく導入でき、オンプレミス・クラウド双方の環境に適用可能です。メールの送信要求がクラウド側で解析され、ポリシーに合致しないメールは自動的にブロックまたは保留されます。

1.2 クラウド連携とID管理

HENNGE Oneプラットフォームとシングルサインオンで連携し、Azure AD、Google Workspace、Microsoft 365などの認証基盤と統合可能です。グループや部門単位のポリシー適用が容易になり、ユーザー管理の一元化が実現します。

1.3 運用モデルとライセンス体系

サブスクリプションモデルで提供され、ユーザー数やメールボリュームに応じた従量課金にも対応します。企業規模や業務要件に合わせたプラン選択が可能で、初期コストを抑えつつ段階的に機能拡張できる運用モデルを提供します。

2. 主な機能と導入メリット

2.1 高度なコンテンツ識別エンジン

HENNGE Email DLPのコア機能は、自然言語処理(NLP)や機械学習を取り入れたコンテンツ識別エンジンです。

パターンベースだけでなく、文脈解析によって固有名詞や業界特有の番号体系(例:製造業のシリアル番号、金融機関の口座番号など)を高精度で検出します。

誤検知を低減しながらも、従来検出が困難だった複雑なパターンもキャッチします。

2.2 添付ファイル内スキャンと自動暗号化

添付ファイルに含まれる機密情報も多層的に解析され、PDF/Office文書だけでなく、Office内の画像化されたテキスト(OCR処理)やZIP圧縮ファイル内部までスキャン対象とします。

検出後は、自動で暗号化リンクを付与し、承認済みユーザーのみがアクセス可能とするワンタイムURLを生成します。

これにより、安全なファイル共有が実現し、メールの添付先誤りによる情報漏えいリスクを劇的に低減します。

2.3 ポリシーの柔軟な設定と承認ワークフロー

業務フローや部門のリスク許容度に合わせて、ポリシーグループを作成可能です。

たとえば、経理部門では与信情報や取引先情報検出時に即時ブロック、営業部門では警告画面を表示して内容確認後に送信許可するといった細かな設定が行えます。

さらに、承認ワークフローを組み込むことで、上長承認後にのみ送信を許可する仕組みも標準機能として提供しています。

2.4 リアルタイム可視化と詳細レポート

管理コンソールではリアルタイムでアラート発生件数や検出キーワード別件数をグラフ化し、メールフロー全体を可視化します。

レポート機能では、部門別・ユーザー別・時間帯別の傾向分析が可能で、定期レポートを自動生成して監査対応にも活用できます。

また、API経由でSIEMやSOARと連携し、さらに詳細な相関分析や自動インシデント起票を実現します。

3. 導入プロセスと運用ポイント

3.1 事前設計とリスクアセスメント

導入前に、現行のメールフローを可視化し、送受信先や利用するデバイス、外部サービスとの連携状況を把握します。併せて企業の業務プロセスを理解し、機密情報項目を洗い出してリスクアセスメントを実施します。

この段階でポリシーのスコープやリスク許容度を設定し、PoCの評価指標を明確化します。

3.2 PoC計画と検証項目

短期間で実施できるPoCでは、以下の項目を重点的に検証します。第一にコンテンツ検出精度、第二に誤検知時の業務影響度、第三にシステムパフォーマンスです。検証結果をもとに、検出閾値や除外ルールのチューニングを行い、最終的な本番適用ポリシーを確定します。

3.3 本番導入と運用移行

本番導入では、ステージング環境との並行運用から開始し、段階的にポリシーを拡大適用します。ユーザー教育やマニュアル配布を通じて運用体制を整備し、運用チームによる定例レビューを設定します。

初期フェーズでは週次でログとアラートをレビューし、誤検知や業務影響を継続的に調整します。

3.4 改善サイクルと運用成熟度向上

導入後はPDCAサイクルを回し、定期的にポリシーや検出モデルをアップデートします。新たな脅威情報や法改正情報を取り込み、必要に応じて全社レベルでのリスクシナリオを更新します。

また、KPIとして誤検知率や検出件数、インシデント対応時間などを設定し、運用成熟度を定量的に評価します。

3.5 注意点とリスク対応

HENNGE Email DLPを安定稼働させるには、システムパフォーマンスへの影響を定期的にモニタリングする必要があります。

大量メール処理時の遅延が業務に支障を来さないよう、キャパシティプランニングを行い、リソース増強やスケールアウトの計画を立てておくことが重要です。

また、誤検知による業務停止リスクを回避するため、ポリシー変更時には必ずステージング環境で動作確認を実施し、関係部門への周知を徹底してください。

さらに、承認ワークフローを導入する際は、承認者の業務負荷が過度に増大しないよう、承認ルールの見直しと自動通知設定を最適化することが求められます。

内部統制強化の観点では、アラートログや承認履歴を長期保存するストレージ戦略を策定し、データ保持ポリシーを遵守しながら必要な証跡を確保することも忘れてはいけません。

4. 他社製品との比較と選定基準

他社製品との比較と選定基準

4.1 市場における主要DLPソリューション

市場にはオンプレミス型DLP、クラウド型メールゲートウェイ、統合型セキュリティプラットフォームが競合として存在します。

オンプレミス型は細かなカスタマイズが可能ですが、インフラ維持コストとスケーラビリティに課題があります。

クラウド型メールゲートウェイは導入が容易ですが、検出エンジンの精度やポリシー柔軟性に限界がある製品も多いです。

4.2 HENNGE Email DLPの差別化ポイント

HENNGE Email DLPはクラウド運用のアジリティとオンプレミス並みの検出精度を両立しています。特にOCR対応スキャンやNLPによる文脈解析、多段階承認ワークフローは他社製品にない強みです。

また、API連携の充実度やSIEM/SOAR統合機能、HENNGE Oneとのシームレス連携により、運用負荷を大幅に軽減できます。

4.3 選定時の確認ポイント

製品選定では、検出精度だけでなく、管理画面の使いやすさ、アラートチューニングのしやすさ、運用ログの出力フォーマットを確認します。

さらに、ベンダーのサポート体制やトレーニングプログラムの提供有無、アップデート頻度とリリースノートの透明性も評価軸となります。

5. 導入事例と得られた効果

5.1 金融業界A社の導入効果

大手金融機関では、HENNGE Email DLP導入後、月間約800件の機密情報送信リクエストを自動検知し、そのうち95%を未然にブロックしました。

結果として、誤送信インシデントを前年同月比で90%削減し、監査対応工数を年間300時間以上削減しています。

5.2 製造業B社のグローバル展開

製造業B社では、海外拠点との技術図面共有に伴うリスク低減を目的に導入しました。75%の誤送信リスクを自動暗号化リンク付き通知に置き換え、現地拠点での運用ミスによる漏えいインシデントをゼロに抑制しています。

5.3 ITサービス企業C社の運用改善

ITサービス企業C社では、HENNGE Email DLPとSIEMを連携し、インシデント発生から対応完了までの平均時間を60%短縮しました。

また、API連携により運用タスクの自動化を実現し、メールに関する運用工数を年間約1000時間削減しています。

6. まとめと今後の展望

メールは依然として企業の主要な情報伝達手段であり、その安全性確保は経営リスクの低減につながります。

HENNGE Email DLPは、クラウド型でありながら高度な検出技術と運用自動化機能を備え、セキュリティエンジニアや情報システム部門の負荷を大幅に軽減します。

今後はAIを活用したさらに高度な文脈解析や、ゼロトラスト環境下でのID連携強化、リアルタイム修正提案機能の充実が予定されています。

また、量子耐性暗号の導入やブロックチェーンを活用した改ざん検知など、新技術を取り入れたメールセキュリティの進化にも注目が必要です。

今こそHENNGE Email DLPを導入し、メールを起点とする情報漏えいリスクを根本から抑制するとともに、安全かつ効率的なメール運用を実現してはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次