EDR製品について

目次

はじめに:EDR製品が求められる背景と本記事の目的

サイバー攻撃の高度化と巧妙化が進む現代において、従来型のアンチウイルスだけでは企業システムを守りきれない場面が増えています。標的型攻撃やゼロデイ攻撃、内部不正など、さまざまな脅威が同時多発的に発生するため、エンドポイント上の挙動をリアルタイムに監視し、異常を検知・対応するEDR(Endpoint Detection and Response)製品の導入が急務となっています。本記事では、セキュリティエンジニアや情報システム部門の担当者がEDR製品導入を検討する際に必要な知見を網羅的に解説し、「edr 製品」のキーワードで検索された際に最適なソリューション情報を提供することを目的とします。

EDR製品の選定にあたっては、機能要件の整理や運用体制の整備、既存環境との連携性、さらには導入後の運用コストまで幅広く考慮しなければなりません。本記事ではまずEDRの基本概念と市場動向を解説し、次に主な機能とアーキテクチャ、導入メリットと課題、製品選定のポイント、導入・運用のベストプラクティスを5つのセクションで詳述します。

EDRの基本概念と市場動向

EDRとは何か

EDRは端点(エンドポイント)における脅威を検知し、自動または手動で対応するための製品群を指します。従来のマルウェア検出に留まらず、プロセスの不審な振る舞い、ファイル改変、ネットワーク通信の異常など、多層的なデータを収集して相関分析を行うことが特徴です。これにより、未知の脅威や内部不正など、シグネチャベースでは検知困難な攻撃にも対応できるのがEDR最大の強みです。

市場動向と導入事例

近年、企業のセキュリティ投資は従来の境界防御から検知・対応能力の強化へとシフトしており、EDR市場は急速に拡大しています。多くの大手企業や金融機関では既にEDRを主要セキュリティ対策の一つとして導入しており、インシデント発生時の調査工数削減や対応スピード向上が報告されています。また、近年ではSIEMやSOAR、XDRといった上位システムとの連携を前提としたエコシステム構築が進み、より自動化・高度化した運用が可能になりつつあります。

EDR製品の主な機能とアーキテクチャ

データ収集とモニタリング機能

EDR製品はまず、エンドポイント上で発生するプロセス起動、ファイル操作、レジストリ変更、ネットワーク接続などのログをリアルタイムに収集します。その上で、通常とは異なる振る舞いや未知マルウェアの活動パターンを検知するために、振る舞い分析や機械学習モデルを活用します。さらに、収集した大量のログはクラウド上の分析基盤に送信され、脅威の相関解析や脅威インテリジェンスとの照合が行われます。

自動対応とインシデント管理

EDRのもう一つの大きな特徴が、自動対応機能です。疑わしいプロセスの隔離やネットワーク通信の遮断、レジストリのロールバックといった初動対応を自動化することで、攻撃の拡大を防ぎます。また、インシデントの管理画面では、検知されたイベントを時系列で可視化し、影響範囲を把握したうえで調査・対応ステップを管理できるため、インシデント対応チームの作業効率が飛躍的に向上します。

エージェント vs エージェントレスのアーキテクチャ

EDR製品には、エージェント型とエージェントレス型があります。エージェント型は各端末に専用ソフトウェアをインストールし、詳細な挙動データを収集できる一方で、導入・運用コストやパフォーマンス影響が課題となり得ます。エージェントレス型はエンタープライズゲートウェイやネットワークタップ経由で監視を行い、エンドポイント側の負荷を軽減できますが、可視化の粒度でエージェント型に及ばないケースもあります。自社環境の規模や運用体制に応じて最適な方式を選択することが重要です。

EDR導入のメリットと課題

セキュリティ態勢の強化

EDRを導入する最大のメリットは、未知攻撃や内部不正に対する検知能力の大幅な向上です。従来のシグネチャマッチだけでは見落とされがちなファイルレス攻撃やLiving off the Land手法も、プロセスやネットワーク通信の振る舞いを分析することで早期に発見できます。その結果、被害の拡大を未然に防ぎ、セキュリティインシデントによる事業インパクトを最小化できます。

運用コストとスキル要求

一方で、EDR製品の導入・運用には一定のコストと専門スキルが必要です。大量のログが生成されるため、SIEM連携やSOARツールによる自動化なしに運用すると、アラート疲れや誤検知対応でセキュリティチームが過負荷に陥る恐れがあります。また、エージェント配布や定期的なバージョンアップ管理、脅威インテリジェンスのチューニングなど、日々のメンテナンス体制を整備しないと、せっかくの検知能力を活かしきれない場合もあります。

プライバシー・法令遵守の観点

社内のエンドポイントで詳細なログを取得・分析するEDRは、従業員のプライバシー保護や個人情報管理の観点でも配慮が必要です。ログ収集範囲を業務に必要な最小限に絞り込み、収集データの保持期間やアクセス権限を厳格に管理することで、プライバシーリスクや法令違反を回避できます。また、EUのGDPRや日本の個人情報保護法に適合した運用ルールを策定し、社内規程に反映させることが重要です。

EDR製品選定のポイントと主要ベンダー比較

選定時のチェックポイント

EDR製品を選定する際には、まず検知エンジンの精度とカバレッジを確認します。振る舞い検知や機械学習モデルがどの程度最新の脅威に対応できるか、ベンダーの脅威インテリジェンス更新頻度は適切かを評価してください。次に、管理コンソールの使いやすさやダッシュボードのカスタマイズ性、API連携による自動化や既存SIEMとの親和性も重要です。また、エージェントのパフォーマンス影響や展開の柔軟性、サポート体制や日本語ドキュメントの充実度も忘れずにチェックする必要があります。

主要ベンダーの特徴比較

市場にはCrowdStrike、Microsoft Defender for Endpoint、SentinelOne、Trend Micro Vision One、VMware Carbon Blackなど多くのEDR製品があります。CrowdStrikeはクラウドネイティブなアーキテクチャと豊富な脅威インテリジェンスが強みであり、大規模環境へのスケールアウトに適しています。Microsoft DefenderはWindows OSとの統合が深く、ライセンスコストを抑えつつ基本機能をカバーできます。SentinelOneは自動レスポンス機能が充実し、手動介入を最小限に抑える設計が特徴です。Trend MicroやCarbon Blackも幅広いプラットフォーム対応と豊富な運用支援オプションを提供しており、自社環境に応じた選択が可能です。

EDR導入・運用フローとベストプラクティス

要件定義とPoC(概念実証)

導入プロジェクトは、まず現状のセキュリティ体制や脅威モデルを整理するところから始まります。どのような攻撃シナリオを想定し、どの範囲の端点を保護するかを明確化したうえで、複数製品のPoCを実施し、検知精度やパフォーマンス影響、運用性を比較検証します。PoCでは代表的な攻撃ツールを使った

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次