脆弱性診断だけじゃない!Veracodeでセキュア開発文化を組織に根付かせる方法

目次

はじめに

デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する現代において、ビジネスの競争力を左右するのは、迅速なソフトウェア開発とサービスの提供です。

しかし、その裏側ではサイバー攻撃のリスクが常に潜んでおり、アプリケーションの脆弱性が企業の信頼を揺るがす大きな脅威となっています。

開発スピードを落とさずに、いかにして堅牢なセキュリティを確保するか。

この課題は、多くの開発現場や情報システム部門が直面する共通の悩みと言えるでしょう。

このような背景から、開発(Dev)、セキュリティ(Sec)、運用(Ops)を一体化させる「DevSecOps」の考え方が主流となりつつあります。この思想を実現するためには、開発ライフサイクルの早期段階からセキュリティを自然に組み込むことができる仕組みが不可欠です。

本稿では、このDevSecOpsを実現するための強力なソリューションとして、世界中で導入実績を持つアプリケーションセキュリティプラットフォーム「Veracode」を詳しく解説します。

Veracodeが提供する包括的な機能や導入のメリット、そして活用する上でのポイントを理解することで、より安全で信頼性の高いアプリケーション開発を目指すための一助となれば幸いです。

Veracodeの基本概要と誕生の背景

クラウドネイティブなアプリケーションセキュリティの先駆者

Veracodeは、2006年に米国マサチューセッツ州で創業されたアプリケーションセキュリティベンダーです 。

静的解析(SAST)、動的解析(DAST)、ソフトウェアコンポジション解析(SCA)、ペネトレーションテスト、セキュアコーディングトレーニングなどを一体化した包括的なセキュリティプラットフォームを提供しています 。

特徴的なのは、クラウドネイティブなサービス形態を採用していることで、ユーザーはオンプレミスに複雑なインフラを構築することなく、即座に高精度な脆弱性診断と対応が可能になります 。

DevSecOpsの思想を具現化した設計思想

DevSecOpsという言葉があるように、開発(Dev)・運用(Ops)・セキュリティ(Sec)を一体化する動きが加速しています 。

Veracodeはまさにこの思想を先取りして開発されており、CI/CDパイプラインへの統合を容易にするAPIやプラグインが豊富に用意されています 。

これにより、開発のスピードを落とすことなく、セキュリティを自然な形で組み込むことができるのです 。

Veracodeの主要機能と対応範囲

静的解析(SAST):コードレベルでの脆弱性検出

Veracodeの中核機能の一つが、ソースコードを実行することなく解析する静的解析機能です 。

この手法により、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、バッファオーバーフローなどの脆弱性を開発段階で特定することができます 。

Veracodeは、数十万件に及ぶ過去の脆弱性パターンと機械学習を活用したエンジンを搭載しており、業界でもトップクラスの検出精度を誇ります 。

動的解析(DAST):実行環境でのセキュリティチェック

アプリケーションが実行される環境で脆弱性を探す動的解析も重要な機能です 。

Veracodeではクラウド上にテスト環境を用意し、実行時の挙動や入力フォームの動作、認証周りの制御を解析します 。

これにより、開発時には見えにくかったランタイム上の脆弱性を効率的に洗い出すことができます 。

ソフトウェアコンポジション解析(SCA):OSSライブラリのリスク管理

近年のアプリケーション開発では、オープンソースソフトウェア(OSS)のライブラリが多用されていますが、それに伴ってOSSの脆弱性がセキュリティリスクとして注目されています 。

VeracodeのSCA機能は、使用しているOSSのバージョンや依存関係を可視化し、既知の脆弱性やライセンスの問題を検出します 。

また、CVE(共通脆弱性識別子)と連携し、迅速なリスク対応を可能にするのも魅力です 。

Veracodeの導入メリットと他製品との違い

クラウド完結による手間の削減

VeracodeはSaaS型で提供されるため、サーバーの構築や運用といったインフラ面での負担が最小限に抑えられます 。

スキャン対象のコードはクラウドへアップロードされ、即座に解析が行われる仕組みとなっており、ローカルにツールをインストールする必要がありません 。

これにより、開発現場の負荷を軽減しつつ、迅速な導入を実現できます 。

高い検出精度とレポートの分かりやすさ

Veracodeは検出精度が非常に高く、誤検出(False Positive)率が低いことで知られています 。

また、診断結果は開発者が理解しやすい日本語による詳細レポートで提示され、脆弱性のリスクレベルや修正の優先度が一目で分かる設計となっています 。

この点は、開発スピードとセキュリティの両立を目指す現場にとって大きな利点です 。

セキュア開発の文化形成を支援する教育機能

Veracodeは、脆弱性の検出だけに留まらず、開発者向けの教育コンテンツ「Veracode Security Labs」を提供しています 。

これは、脆弱性の修正手順を実際にコーディングしながら学べる実践的なトレーニングで、セキュアな開発文化の醸成に役立ちます 。

単なるツールではなく、長期的なセキュリティ戦略に寄与するソリューションであることが分かります 。

導入事例と活用シナリオ

国内外の企業による実績と効果

Veracodeは、世界中の金融機関、政府機関、大手IT企業などで導入されており、日本国内でも多数の導入実績があります 。

たとえば、ある大手金融機関では、Veracodeの導入によって開発サイクル中の脆弱性の検出率が大幅に向上し、リリース後の修正工数を30%以上削減できたという報告もあります 。

セキュリティ成熟度に応じた柔軟な活用

セキュリティ体制が整っていない企業でも、Veracodeはスモールスタートが可能です 。

初期段階ではSCAやSASTから始め、徐々にDASTや教育機能を追加することで、自社の成熟度に応じた段階的なセキュリティ強化が実現できます 。

また、開発現場への負担を最小限に抑えるため、CI/CDツール(Jenkins、GitHub Actions、Azure DevOpsなど)との連携もシームレスに行えます 。

導入前に知っておきたい注意点と課題

ソースコードのクラウドアップロードへの抵抗感

Veracodeはクラウド型であるため、スキャン対象のコードをインターネット経由で送信する必要があります 。

この点に抵抗を感じる企業もありますが、VeracodeはISO27001、SOC2などの厳格な認証を取得しており、送信データは暗号化・削除管理が徹底されています 。

それでも懸念がある場合は、コードをマスキングする方法や限定的なモジュールのみをスキャンする運用が推奨されます 。

日本語対応とサポート体制の確認

Veracodeはグローバル製品であるため、管理画面やドキュメントの一部が英語となっている場合があります 。

ただし、日本国内の販売代理店やパートナー企業から導入することで、日本語によるサポートやトレーニングを受けることが可能です 。

導入時には必ずサポート体制や費用体系を確認し、自社に合った導入プランを選定することが重要です 。

まとめ:Veracodeはセキュアな開発の要となる製品

Veracodeは、セキュリティ対策と開発スピードの両立を実現するための、極めて有効なソリューションです 。

静的・動的解析、OSS管理、開発者教育といった機能を一元的に提供することにより、単なる脆弱性診断ツールを超えた「アプリケーションセキュリティプラットフォーム」として位置づけられています 。

特に、DevSecOpsを推進する企業や、セキュアな開発文化を根付かせたいと考える情報システム部門にとって、導入を検討する価値は非常に高いと言えるでしょう 。

導入にあたっては、自社の開発体制やセキュリティレベルに応じた最適な活用方法を見極めることが重要です 。

Veracodeを活用することで、安全で信頼性の高いアプリケーション開発を実現し、競争力のあるビジネスを支える基盤を築くことができるでしょう 。

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